pixta_16831810_XL

1 破産するって,どういうこと?

よく「破産(はさん)する」という言葉を聞くことがあると思います。
「スッカラカンになる」「水の泡になる」とかという日常用語と同じ意味で使うこともありますが,法律的にはどういうことでしょうか?

2 破産すると支払わなくていいことになる?

厳密な法律上の回答は,ノーです。
 というのは,「破産」というのは,「支払えない」ということを裁判所が認めてくれることを言っているのであって,「支払えない」ので,「支払わなくていい」,か,どうかは,別の手続きが用意されています。それが,「免責」という制度です(「責任を免れる」ことを認める制度)。
 なので,一連の破産手続きのなかで行われるのですが,「破産」と「免責」と二つの審査があることにご注意ください。

3 どんなとき「破産」は認められる?

 簡単に言うと,前にも書いたとおり「支払えない」ということが認められれば,破産開始決定がされます。この「支払えない」というのは,「いますぐ支払えない」ということでは足りず,たぶん,これから先もずっと「支払えない」という状況であることが必要です。
 考えてみれば,借金をして負債を抱えている人や会社はたくさんありますが,みんながみんな破産しているわけではありません。それは,将来,支払っていける見込みがあると信用され,貸付を受けているからです。つまり,その将来に渡っても,到底支払うことができない状態になったことが,「破産」ということです。

 
4 「免責」は,ほぼ認められるが…

 「破産」した人のほとんどが「免責」されるのが現状です。「支払えない」のだから,「支払わなくていい」ことにするのが一番いいに決まっています。
 しかし,たとえば,人を騙してお金を取得したり,借りたお金をギャンブルなどに浪費をしたりした人の場合は,破産状態であったとしても,「免責」はされないルールになっています。
 ただ,「裁量免責」と言って,ルール上では免責は認められない事由があったとしても,事情によっては,裁判官の「裁量」で,「免責」が認められるケースもありますので,弁護士とよく相談してみてください。
 なお,養育費や相手に怪我を負わせた賠償金,また税金などは,たとえ「免責」されていたとしても,そのお金については「免責」はされず支払義務が残りますのでご注意ください。

5 破産すべきかどうかお悩みなら。

借りたものは返すというのが原則ではありますが,今後の経済生活上,到底支払う見込みがないのなら,「破産」「免責」の制度を利用して,一度,すっきりした方が,かえってよいこともあります。なお,「破産」したとしても,そのことが別に戸籍に載るわけでもありませんので,ご心配なく。
たとえば,借主本人が破産・免責が認められても,保証人にはその効果は及びません。そうすると保証人も破産・免責の手続きをしなければ,保証人に支払義務が残ってしまうことになります。でも,だからといって,保証人に悪いと思って,破産しないで,どんどん借金をしていたら,結局,払えなくなってしまい,保証人に余計に迷惑をかけてしまうことになります。
「免責」というのは,支払う「責任」を免れるもので,支払「義務」がなくなるものではありません。ややこしい話のようですが,要は,債権者から裁判上の請求をされても支払う責任がないとして裁判に負けることはないのですが,こちらから払う分には構わないということになるのです。
とすれば,破産・免責を受け,再び経済的に支払う余裕ができたら,保証人に迷惑をかけた分をこちらから支払うことも法律上は問題はないのです。もちろん,破産する以上,はじめから保証人にそんな約束をすることはいけませんが,そうした長い目でみて,判断をすることも大切なときがあります。

払えそうだけど大変だ。そんな方は,一度,ご遠慮なくご相談ください。むやみに借りて返すことの繰り返しは,いずれ大変困ったことになりかねません。
破産以外にも,債務整理など,いろいろと解決方法があるかもしれません。