当職も弁護士経験30年を迎えようとしています。これまで、いろいろな法律相談を受けました。離婚の相談が多いのですが、結婚の相談を受けたことが一度あります。

その相談のとき、相談者に事前に記載してもらう相談カードに書かれていたのは、「僕は結婚すべきでしょうか?」とだけでした。

なんのことだか、これは法律相談なのか、と思いましたが、その相談者の話を聞いてみると、相談者の悩みは、次のようなことでした。

「僕には、彼女がいて、その彼女に子どもができたことを知らされました。彼女のことは好きだし、これからもお付き合いしたいと思っているのですが、まだ、彼女と結婚することまでは考えていませんでした。僕もまだ20代前半で、ちゃんと決まった収入ももらえるようにはなっていないですし、まだ結婚はと思っていたのです。でも、彼女は、子どもを産みたいし、結婚して欲しいと言ってきているのです。

それで、なぜ、弁護士事務所に法律相談なのかと尋ねましたら、
「もし、結婚をしなかったら、養育費や慰謝料の請求を受けるのかなと思って。」とのことでした。

たしかに、生まれてくる子どもの父親であるなら、結婚をしなくても、彼女から認知請求を受け、養育費の支払い義務も発生しますし、場合によっては、慰謝料請求をされることもあることを相談者には告げましたが、次のことも話しました。

「あなたは、法律で、養育費や慰謝料を払うことになっているなら、結婚をすることにして、払わないでいいなら、結婚しないことにするのですか。そうではないですよね。あなたが、いま、彼女のことを思って、悩んでいること、正直に彼女と話したことはありますか。」

そうすると、相談者の男性は、彼女には話せていませんと答えました。

当職が、「じゃあ、彼女と自分の正直な気持ちを話してみて、それから決めるのがよいのでは」と話すと、
相談者の男性は、「そうですね。先生ありがとうございました。」と笑顔になり、法律相談料を払って、うれしそうに帰って行きました。

弁護士への法律相談は、法律の知識そのものも大切ですが、自分が置かれた状況、立ち位置を確かめられるというメリットもあるのかもしれません。

弁護士の敷居をそんなに高く考えず、お一人で悩まず、遠慮なく、ご相談ください。ちなみに、当事務所は、法テラスが利用できれば相談料の負担はなくなります。また、当事務所の法律相談料は30分2200円です。ご参考まで